ChatGPTを業務へ活用するには?活用方法のご紹介

Ridge-iの中野です。今回は、日本でも大きく話題になっているChatGPTの活用方法についてご紹介します。

ChatGPTとは

ChatGPTとは昨年11月にOpenAI社からリリースされたチャットボットであり、幅広い分野の質問に対して詳細な回答を生成できることで注目を集めています。高度な質問に答えたり、新しい企画案を自動生成することができるため、多くの業界においてChatGPTの活用に向けた議論が始まっています。

チャットボットの分類とChatGPT

チャットボットは、大別して「古典的なシナリオ型チャットボット」と「AI型チャットボット」の2種類があります。古典的なシナリオ型チャットボットは事前に用意された返答をすることしかできないのに対し、AI型チャットボットは返答文を自然言語で生成することができます。ChatGPTは、AI型の中でもより自然で的確な回答を生成することができます。

チャットボットの分類
チャットボットの分類

AI型チャットボットとしてのChatGPTの特長

ChatGPTは、従来のAI型チャットボットと比較して以下の3つの特長があります。

1. インターネット上の莫大なデータを学習

従来のAI型チャットボットでは、AIモデルの学習の際に教師データを人力で作成する必要があり、回答精度の向上に限界がありました。しかし、ChatGPTでは自己学習を行うため人力で教師データを作成する必要がないため、より莫大なデータを学習することができます。インターネット上のデータを際限なく学習することで、回答精度を大幅に向上させることができるのです。

2. モデルの表現力が高い

AIチャットボットが自然で的確な返答ができるかどうかはモデルのパラメータ数に依存するため、パラメータ数が多いほど表現力が高くなります。ChatGPTで使用しているモデル(GPT-3)は、これまでのAI型チャットボットのモデルと比較して膨大な数のパラメータを有しているため、細かな言葉遣いやニュアンスの違いなどを捉え、問いかけに対してより自然で的確な回答を得ることができるのです。

3. プログラムのソースコードも学習

ChatGPTはインターネット上のソースコードも学習しており、プログラムに関する質問に答えたり、ソースコード自体を生成することも可能です。

(補足)ChatGPTとGPT-3の違い

GPT-3とChatGPTは両者とも言語モデルですが、GPT-3は汎用的な言語モデルであるのに対して、ChatGPTは会話型AIに特化した言語モデルという違いがあります。

<GPT-3とChatGPTの違いに関するChatGPTの回答>

GPT-3 and ChatGPT are both language models developed by OpenAI, but they differ in their intended use cases and design specifications.

GPT-3 is a state-of-the-art language model that was specifically designed for natural language processing tasks such as language translation, question-answering, and text generation. It was trained on a massive dataset of over 45 terabytes of text data, which has allowed it to achieve impressive results in these tasks.

ChatGPT, on the other hand, is a language model that was specifically designed for conversational AI applications such as chatbots and virtual assistants. While it is also based on the GPT architecture, it was fine-tuned on a dataset of conversational data to improve its ability to generate natural and engaging responses to user input.

In summary, GPT-3 is a more general-purpose language model that excels in a variety of natural language processing tasks, while ChatGPT is a specialized language model that is specifically designed for conversational AI applications.

<訳>

GPT-3とChatGPTは、どちらもOpenAIが開発した言語モデルですが、想定しているユースケースや設計仕様が異なります。

GPT-3は、言語翻訳、質問応答、テキスト生成などの自然言語処理タスクのために特別に設計された、最先端の言語モデルです。45テラバイトを超える膨大なテキストデータで学習させたことで、これらのタスクで素晴らしい結果を出すことができました。

一方、ChatGPTは、チャットボットや仮想アシスタントなどの会話型AIアプリケーション向けに特別に設計された言語モデルです。こちらもGPTアーキテクチャをベースにしていますが、会話データのデータセット上で微調整を行い、ユーザーの入力に対して自然で魅力的なレスポンスを生成する能力を向上させています。

まとめると、GPT-3はさまざまな自然言語処理タスクに優れた汎用的な言語モデルであり、ChatGPTは会話型AIアプリケーションに特化した言語モデルである。

ChatGPTの活用(既存チャットボットの延長として)

1. 社内/社外FAQ

従来のチャットボットが広く活用されている領域であり、ChatGPTを活用することでより高い精度でFAQを実現することができます。

  • 概要
    • 従業員や顧客のFAQに対して自動で応答するチャットボット
  • 利用例
    • 従業員向けの社内ポータル上での就業規則や申請プロセスのFAQ
    • 自社アプリ等での顧客向け商品仕様のFAQ
    • 技術作業員向けの機器操作FAQ など
  • 期待・効果
    • 24時間365日対応可能によるサービス品質の向上
    • オペレーター削減による人件費の削減
    • 社内ナレッジの一元化と平準化 など
2. 自動翻訳

既存の自動翻訳サービスもChatGPTで代替することができ、より高い精度で翻訳タスクを実施することが期待できます。

  • 概要
    • 主に契約書やメールなどの文章を他の言語に翻訳
    • 音声認識を用いることで、会議の同時翻訳に応用することも可能
  • 利用例
    • 契約書やメールの英訳業務
    • 国際会議の同時翻訳
    • 技術論文などの英語文章の翻訳 など
  • 期待・効果
    • 社員の言語レベルの平準化
    • 外国語ドキュメント調査にかかる作業時間の短縮
    • 国際会議などにおけるコミュニケーションの平滑化
3. 議事録生成
  • 概要
    • 会議の議事メモをChatGPTに入力すると、議事録のフォーマットに成型して返す
    • 音声認識などを組み合わせて逐語録を生成することで、完全自動化も可能
  • 利用例
    • 会議の議事メモから議事録を生成
    • 音声認識で取得した逐語録から議事録を生成
  • 効果・期待
    • 議事録を作成する時間の短縮や人員の削減
    • 議事録の正確性向上
4. 要約生成
  • 概要
    • ニュースやWebページをChatGPTに入力し、要約文を生成
  • 利用例
    • 日々のニュース記事確認業務の省力化
    • 報告書等のドキュメントの要約
  • 期待・効果
    • リサーチや報告書確認にかかる時間の短縮

ChatGPTの活用(既存チャットボットでは実現できない領域)

1. 調査・リサーチ

企業調査や特許調査などのリサーチ業務において、補助的にChatGPTを活用することで作業時間の短縮やリサーチの質の平準化が期待できます。インターネット上の莫大なデータを自己学習しているChatGPTだからこそ実現できることとなります。

  • 概要
    • リサーチ業務において、ブラウザの検索エンジンにキーワードを入力する代わりにChatGPTで質問することで、対象のWebページやリサーチ結果を直接取得することができる
  • 利用例
    • 市場・市況・企業調査業務
    • 特定技術のユースケース調査業務
    • 特許申請時の関連特許調査業務
    • 研究開発における先行研究論文の検索業務
  • 効果・期待
    • リサーチ業務にかかる人員や時間の短縮
    • リサーチ業務の質の平準化

チャットボットのユースケースを問いかけた例関連特許の調査を問いかけた例
左:チャットボットのユースケースの問いかけ例 右:関連特許の調査の問いかけ例

2. 企画・コンテンツ創出

ChatGPTを用いることで、企画やコンテンツ案を創出する業務を省力化することができ、クリエイティブ人材不足を解消することが期待できます。

  • 概要
    • 企画や商品のキャッチフレーズなど、クリエイティブなコンテンツ案を出すことができる
  • 利用例
    • 新商品/製品開発のコンセプト案出し
    • Web広告に掲載するキャッチフレーズの案出し
    • イベントなどの企画の案出し
    • SNSマーケティングなどのコンテンツ案出し
  • 効果・期待
    • クリエイティブ業務にかかる時間の短縮
    • クリエイティブ人材不足の解消

ハイブランドな電気自動車のキャッチフレーズ案を問いかけた例小売業における季節イベントの企画案を問いかけた例
左:ハイブランドな電気自動車のキャッチフレーズ案の問いかけ例 右:小売業における季節イベントの企画案の問いかけ例

3. エクセル操作やプログラムのコーディング補助

ChatGPTはインターネット上のプログラムコードも学習しているため、エクセル操作やプログラミングに関する問いかけに応答することができ、エンジニアの作業効率向上や技術/ノウハウの平準化が期待できます。

  • 概要
    • エクセル操作やプログラムのコーディングに関する質問を投げかけ、操作手順やソースコードを取得することができる
  • 利用例
    • 特定処理を行うプログラムの調査
    • より効率的なプログラムの生成
    • 既存プログラムの他言語への変換
    • プログラムのバグ発見
    • 特定の処理を行うエクセル関数の調査
  • 期待・効果
    • エンジニアやエクセル作業担当者の作業効率化
    • エンジニアやエクセル作業担当者の技術/ノウハウの平準化

ソート処理のPythonコードを問いかけた例エクセルで重回帰分析を行う方法を問いかけた例
左:ソート処理のPythonコードの問いかけ 右:エクセルでの重回帰分析の方法の問いかけ

ChatGPT活用における問題点

ChatGPTは問いかけに対する意味を解釈して返答しているのではなく、問いかけの文字列に対してもっともらしい文字列を返しているため、必ずしも正しい答えが返ってくるとは限らない。実際のビジネスに適用するためには、正確性が担保されないリスクの加味や問いかけ方を模索する必要があります。

ChatGPTが正しい返答を返さない例
ChatGPTが正しい返答を返さない例

さいごに

ChatGPTは言語の表現力が高いAIモデルを活用することでより自然な回答を生成することができるため、これまでご紹介した様々な活用方法が考えられます。

Ridge-iでは、ChatGPTを業務へ活用したいお客様へのコンサルティングや開発導入支援を行っておりますので、ご興味のある方はぜひ下記フォームよりお問い合わせください。

ridge-i.com